中野大観堂
1.52017
痛みとトリガーポイント療法
先にお伝えしましたが、「痛み」はからだの故障を知らせる警鐘です。
では、なぜ痛みは起きるのか、それを五十肩を例にして、ご説明します。
先ず、五十肩になりますと、その部位から脳に向けて「五十肩発生!」の信号が送られます。脳は送られてきたその信号をキャッチして、今度は「痛み」の信号に変えて、五十肩が起きた部位に送り返します。次に、その送り返されてきた「痛み」の信号は肩の神経を興奮させ、「痛み」を発生させます。
五十肩の痛みは、そうした一連の流れを経て、初めて感じるものなのです。つまり、五十肩の痛みは肩が発しているものではなく、脳が発する警鐘の信号なのです。
ところが、人間のからだには、五十肩(疾患)と対応する圧痛点に刺激を与えますと、その刺激によって、脊髄の髄液に痛みを和らげる科学物質が生成されるというしくみもまた、具わっているのです。そして、その科学物質の働きによって、五十肩の痛みは、いくらかではありますが、和らぐのです。
トリガーポイント療法は圧痛点にペタップで刺激を与えることで痛みを和らげる科学物質を人為的に大量に生成させ、その物質の作用によって痛みを消滅させてしまうというのが、その大きな特徴です。
その科学物質は、鎮痛薬として使われるモルヒネの一種で、モルヒネ様物質(エンドルフィン)と呼ばれています。そのモルヒネ様物質の作用によって、痛みは短時間のうちに消滅するのです。
しかし、一口にモルヒネ様物質といいましても、それが本人の体内で作り出されたものである限り、それによる副作用の心配はまったくありません。からだには害が無いということです。
また、この療法は、単に「痛み」を止めるのみでなく、治療の効果をも併せ持っています。つまり、トリガーポイント療法には、「鎮痛」と「治療」の効果があるのです。